
棟方志功の作品の最高額は、約6,800万円です。
代表作「二菩薩釈迦十大弟子」がオークションで落札された価格で、板画としては日本トップクラスの記録です。
しかし、すべての作品が高額になるわけではありません。
数万円のものから数千万円まで、価格差が非常に大きい作家でもあります。
本記事では、美術品買取の専門家が
✔最高落札額
✔板画の値段相場
✔高く売れる作品の特徴
✔今後の市場価値
をわかりやすく解説します。
棟方志功の最高額はいくら?代表作品の落札価格
棟方志功の作品は、単なる伝統的な木版画の枠を超え、現代アートの文脈でも高く評価されています。まずは、驚異的な価格を叩き出した代表作の記録を見ていきましょう。
二菩薩釈迦十大弟子(約6,800万円)
棟方志功の代名詞とも言える「二菩薩釈迦十大弟子」は、市場において最も高値で取引されるシリーズです。
国内オークション記録: 2016年に毎日オークションにて、屏風一双に仕立てられた同作品が、当時のレートで6,800万円で落札されました。
最近の推移: 2019年にもシンワオークションにて3,700万円で落札されるなど、セット且つ状態が良いものは数千万単位となっています。
海外オークションでの評価(クリスティーズなど)
海外市場、特にニューヨークやロンドンのオークションハウスでは、手彩色(裏彩色)が施された一点ものが高騰する傾向にあります。
クリスティーズ: 2000年にニューヨークで開催されたオークションでは、「白肌妃(Hakki-hi)」が約70,500ドル(当時のレートで約800万円以上)で落札されました。近年の円安・ドル高傾向もあり、海外の富裕層による応札が価格を押し上げています。
肉筆画の価格帯(300万〜1,000万円以上)
版画だけでなく、筆で直接描かれた「倭画(やまとえ)」も非常に高額です。色鮮やかな女性像や仏画は、国内のプライベートセールやオークションにおいて、300万円〜1,000万円以上で取引されることも珍しくありません。
棟方志功の板画の値段相場
棟方志功の板画は、数万円から数千万円まで非常に幅広い価格帯で取引されています。
同じ作家の作品でもここまで差が生まれる理由は、「制作時期」「技法」「シリーズ」「保存状態」など複数の要素が評価を大きく左右するためです。
まずは代表的な価格目安を見ていきましょう。
| 種類 | 買取・落札価格の目安 |
|---|---|
| 手彩色(裏彩色)が施された板画 | 300万~1,000万円以上 |
| 「二菩薩釈迦十大弟子」など人気シリーズ | 100万円~500万円前後 |
| 中型サイズの板画 | 30万〜150万円前後 |
| 小作品・知名度の低い作品 | 数万円〜30万円前後 |
※価格は市場動向や状態により変動します。
有名コレクションの旧蔵品や展覧会出品歴のある作品など、来歴が明確な板画は相場を超える価格で落札されることがあります。
棟方志功は海外でも知名度が高く、市場に出回る優品が限られているため、作品によっては複数のコレクターが競り合い、想定以上の価格に到達することもあります。
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なぜここまで高い?棟方志功の作品が高額になる5つの理由
同じ棟方志功の作品でも、数万円で取引されるリトグラフから1,000万円を超える板画まで、価格差は非常に大きいです。高値で落札される作品には、必ず以下の5つの条件が備わっています。
① 「板画(はんが)」であること
棟方は、木の魂を写し取るという意味を込めて、自らの版画を「板画」と呼びました。機械的な量産品ではなく、棟方本人のエネルギーが宿る初期の板画、特に「手彩色(裏から色を差す技法)」が施された作品は、一点ものに近い価値を持ちます。
市場では、棟方志功の作品としてリトグラフ(石版画)が流通していることもありますが、一般的に評価が高いのは木版による板画です。
リトグラフは比較的流通量が多いため、価格は数万円前後に落ち着くケースも珍しくありません。
② 圧倒的な知名度を誇る「シリーズ」
以下の代表作シリーズは、コレクターの間で奪い合いになります。
- 二菩薩釈迦十大弟子(ヴェネツィア・ビエンナーレ国際版画大賞受賞作の系統)
- 鐘渓頌(しょうけいしょう)
- 女人観音像

棟方志功の代表作の中でも特に評価が高いのが「二菩薩釈迦十大弟子」です。仏教を題材にしながらも、力強い彫りと躍動感のある線によって人物の精神性まで表現している点が大きな魅力といえるでしょう。
本作の系統は、1956年のヴェネツィア・ビエンナーレで国際版画大賞を受賞した流れを汲む重要な作品群として知られ、棟方志功を世界的作家へ押し上げる契機となりました。美術史的な価値が極めて高く、市場に出る機会も限られているため、コレクターからの需要が安定しています。特に保存状態の良い作品や屏風仕立ての大型作品は高額になりやすい傾向があります。

「鐘渓頌」は、棟方志功特有の大胆な画面構成とリズミカルな彫線が際立つシリーズです。文字と図像を融合させたような表現は装飾性が高く、板画でありながら絵画的な完成度を感じさせます。
また、棟方が円熟期に制作した作品として評価されることが多く、技術的な完成度の高さも人気の理由です。芸術性と希少性のバランスが良く、コレクション目的で購入する愛好家も少なくありません。

「女人観音像」は、棟方志功が生涯にわたり追求した“女性美”と“信仰”の要素が融合したシリーズです。柔らかさと力強さを併せ持つ独特の造形は他の作品にはない魅力があり、宗教的な静けさの中に生命感が宿っています。
女性像を題材にした作品はインテリアとしても受け入れられやすく、美術愛好家だけでなく幅広い層から支持されている点も評価につながっています。手彩色が施された作品や構図の優れたものは市場で注目されやすく、棟方志功の人物表現を象徴するシリーズとして安定した人気を誇ります。
③ 保存状態(コンディション)と摺りの時期
棟方の板画は、非常に薄い和紙に摺られています。
初摺り(しょずり): 棟方本人が存命中に監修・制作された初期のものは、墨の勢いや線が鋭く、最も高値がつく事もあります。
シミ・ヤケの少なさ: 古い作品のため、保存状態が良いものは希少価値が跳ね上がります。
④ 「棟方志功鑑定委員会」の鑑定証
高額取引において、真贋の証明は不可欠です。棟方志功鑑定委員会の公式な鑑定証が付属しているかどうかで、評価額は数百万円単位で変わります。
つまり、鑑定書を取得できない作品は評価が下がる傾向があります。
⑤ 来歴
「どのコレクターが所蔵していたか」「どの展覧会に出品されたか」という歴史的背景が、海外オークションでの価格を大きく左右します。
他の人気日本画家と比較した棟方志功の価格
棟方志功の作品価格を正しく理解するためには、他の人気日本画家と比較することが重要です。結論から言えば、棟方志功は「超高額作家」と「中堅上位作家」の中間に位置する実力派作家といえるでしょう。
まずは代表的な作家の最高落札価格を見てみましょう。
| 作家名 | 最高落札価格 | 特徴 |
|---|---|---|
| 草間彌生 | 約15億1,700万円 | 世界的現代アーティスト |
| 東山魁夷 | 1億1,200万円 | 風景画で高い人気 |
| 平山郁夫 | 2,600万円 | 日本画の巨匠 |
| 棟方志功 | 6,800万円 | 板画の第一人者 |
※価格はオークション結果などを参考にした目安です。
このように見ると、棟方志功は数億円クラスの作家には届いていないものの、日本美術市場において極めて安定した評価を受けている作家であることが分かります。
棟方志功の価値は今後上がる?市場動向を解説
美術市場では評価が確立した作家ほど価格が大きく下落しにくいといわれています。「今の価格はピークではないか?」という懸念に対し、美術市場の専門家としては概ね同意です。今後、相場が上がるには多数のハードルがあると感じています。
海外資本による「日本美術」の再評価
現在、サザビーズやクリスティーズといった国際的な舞台で、日本の戦後美術(具体美術協会など)の価格が急騰しています。棟方志功は、早くから世界的なビエンナーレで大賞を受賞しており、「日本のピカソ」としての地位を確立しています。
海外の美術館による買い付けが進むことで、市場に出回る一級品の数は減り、必然的に価格は上昇する可能性もあります。
現状は海外よりも国内でのマーケットがメイン
海外で一定の需要や評価もありつつも、国内市場が中心といわれています。特にデパートで販売されることが多く、新しいコレクターは生まれていますが基本的に日本の方です。
海外のコレクターにアピールできるようなギャラリーが棟方志功作品を取り扱えば上がる可能性は高くなるでしょう。
浮世絵ジャンルと見なされれば可能性もあり?
浮世絵の人気は高いです。棟方志功作品も世界から見たときに浮世絵の新しいジャンルとして見られれば勢いは増すでしょう。
元から技術的な価値や歴史的な価値はありますが、アプローチ方法を変えれば一躍世界的な作家の仲間入りになるかもしれません。
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棟方志功の作品を高く売るポイント
棟方志功の作品は評価基準が明確なため、いくつかのポイントを押さえるだけで査定額が大きく変わることがあります。特に板画は保存状態や付属品の有無が価格に直結しやすく、売却前の準備が重要です。
ここでは査定の現場でも重視されるポイントを解説します。
✔ 鑑定書や付属品を揃える
高額作品ほど真贋の確認が重視されるため、鑑定書の有無は査定額に大きく影響します。箱や黄袋、購入時の領収書、展覧会図録などが残っていれば、作品の来歴を示す資料として評価につながる可能性があります。
✔ 作品の種類を正しく把握する
棟方志功の作品には板画のほか、リトグラフや肉筆画など複数の種類があります。一般的に市場評価が高いのは木版による板画で、とりわけ手彩色が施された作品や人気シリーズは高額になりやすい傾向があります。
✔ 保存状態をできるだけ保つ
棟方志功の板画は和紙に摺られているため、湿気や紫外線の影響を受けやすい特徴があります。シミやヤケ、波打ちが生じると評価が下がる傾向があるため、保管環境は重要です。
✔ 複数の業者を比較する
美術品の査定額は、販売ルートや得意分野によって差が生まれることがあります。棟方志功のように国内外で需要のある作家は、販路を多く持つ業者ほど強気の価格を提示しやすい傾向があります。
納得できる価格で売却するためにも、可能であれば相見積もりを取り、比較検討するとよいでしょう。
✔ 市場動向が良いタイミングで売却する
美術品の価格は景気や海外需要、展覧会の開催などの影響を受けます。著名な回顧展が開かれた直後や、日本美術への注目が高まっている時期は、相場が上向くこともあります。
よくある質問(FAQ)
Q:棟方志功の作品で一番高いものは?
→ 代表作「二菩薩釈迦十大弟子」がオークションで6,800万円で落札されています。板画としては日本美術市場でもトップクラスの落札額です。
Q:棟方志功の板画はいくらで売れる?
→ 一般的には数万円〜数百万円が目安ですが、手彩色の作品や人気シリーズなどは1,000万円を超えることもあります。
Q:鑑定書は必要?
→ 鑑定書がなくても査定は可能です。ただし、高額帯の作品ほど真贋の確認が重視されるため、鑑定書がある方が評価につながりやすい傾向があります。
Q. 古い作品でも価値はある?
棟方志功の場合、制作年代が古いほど評価されるケースも多く見られます。特に存命中に制作された板画は市場での需要が安定しています。
Q. 売るタイミングはいつが良い?
美術品の価格は市場動向や海外需要の影響を受けます。日本美術への関心が高まっている時期や展覧会開催の前後は、注目度が上がることがあります。
まとめ:棟方志功の最高額と板画の価値を正しく理解する
棟方志功の作品は、日本美術市場の中でも安定した人気を誇り、板画の分野を代表する存在として高く評価されています。最高額は「二菩薩釈迦十大弟子」が記録した数千万円規模とされ、作品によっては今後さらに評価を伸ばす可能性もあるでしょう。
一方で、棟方志功の作品は数万円程度のものから高額作品まで価格差が大きく、技法・制作時期・保存状態・鑑定書の有無など複数の要素が査定額を左右します。そのため、正確な価値を知るには専門家による判断が欠かせません。
「古い作品だから高くないだろう」と思っていても、人気シリーズや初期の板画であれば想定以上の評価がつくこともあります。反対に、保存状態によっては早めに相談した方がよいケースもあります。
将来的な売却を検討している方はもちろん、「まずは価値だけ知りたい」という段階でも査定を受けておくことで、適切な判断がしやすくなるでしょう。まずは無料査定で、お手元の作品の評価を確認してみてはいかがでしょうか。


