ブログ 株式会社獏
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アートや美術品の転売事情について

販売価格を売却金額が上回る可能性有!なモノには転売屋さんがやってくる

インターネットの発達により、誰でも簡単に膨大な量の情報を手に入れられるようになりました。それ以前は属人的なネットワーク無しにレアな情報を得ることは難しく、希少な情報に辿り着けるのはそのジャンルにどっぷりとハマっている人・時間やお金をかけて熱心に調べている人に限られていたように思います。

しかしながら、現在はある程度のインターネットリテラシーと多少の予算があれば、容易に希少な情報を手に入れることが出来るようになりました。美術業界において特にその影響を受けていると感じるのは「転売活動」です。以前は本当に熱心なコレクターしか知り得なかった情報を、現在はSNS等を通じて簡単に入手出来るようになり、【販売価格よりも売却価格が上回る可能性があるモノ】には、瞬く間に転売屋さんが集まります。

元々美術業界にも転売屋さんは居ましたが、最近は本当に数が増えた印象があります。以前美術品は購入までのハードルが高く、現在ように誰にでもオープンな販売方法ではありませんでした。(販売場所もネットのように誰でも応募可能な場所でなく、東京都心のギャラリーであったり。また、お金があれば誰でも購入できるわけではなく、「紹介制(売り手が買い手を選ぶ)」のような雰囲気さえありました。)


そのような状態故に作品の購入自体が大変困難でしたが、現在はネットで販売日時の発表があり、誰でも応募自由!といった作品が増えたことで、転売屋さんも増えてきたというわけです。ついに絵画・美術品の世界にもやってきたな・・・という気持ちです。

私は絵画や美術品を専門とした買取事業を行っています。そのため、たまにですが転売目的で購入したであろう方・作品にお会いすることがあります。この実体験を基に、『美術品の転売』について思ったことを記していきたいです。

どんな美術品が転売の対象に?



アート作品のすべてが転売対象となるわけではなく、一定の条件を満たす一部の作品が対象となります。

その条件とはずばり、『現代作家』と『版画』でしょう。

現代作家


現代作家とはこう!と説明したいところですが、線引きが大変曖昧で、明確な説明が困難です。
現代を生き、活動している作家をすべて現代作家と呼んで良いのかと言われるとそうでもなく、−例えば村上隆、草間彌生、奈良美智のように先進的な表現方法を用いている作家を指すことが多いように思います。過去の表現様式を世襲する巨匠作家(画壇と呼ばれるような世界)は、たとえ今を生き、活動しているとしても現代作家と呼ぶにはあまりふさわしくないでしょう。

時代にマッチした作風は流行に敏感な人たちと相性が良く、コアな芸術ファンのみならず、より広いファン層を作ります。ファンが増えれば需要も生まれ、価値が出る可能性が高まり、結果的に転売屋さんが集まってくるという流れです。

版画



版画とは作品の表現様式の一つです。大きな特徴として、同じ図柄の作品が数十枚から数百枚制作され、通常は1枚1枚に限定部数(エディション)と呼ばれるナンバリングと作家直筆のサインが記載されています。
直筆(いわゆる原画)の作品は希少性が高く、必然的に市場に流通する量も少ない傾向です。しかしながら版画作品は直筆作品と比べると点数が多いため市場に流通する量が多くなり、結果、転売屋さんの手に渡る可能性が高くなります。

活躍次第で将来値上がりする可能性がある『現代作家』の作品で、直筆作品よりも手に入れやすい『版画作品』が良くも悪くも転売と相性が良いのでしょう。

転売屋さんとインターネットオークション・フリマアプリとの関係


転売屋さんの主戦場は「インターネットオークション」と「フリマアプリ」でしょう。
私達のような買取業者に持ち込む方も稀に居ますが、一般消費者にダイレクトに販売する方が高値が付く確率が高いため、多くの転売屋さんはインターネットオークションやフリマアプリで売却しています。

インターネットオークションやフリマアプリの登場により、【C to C(個人間)取引】が容易になったことが、多くの転売屋さんを生み出した理由のひとつだと思います。

また、インターネットオークションやフリマアプリの台頭により、あまり美術品知識の無い転売屋さんも売買実績を簡単に調べることが出来るようになりました。少し前の時代では二次流通(セカンダリーマーケット)は相場に精通している業者や相当な好事家ではないと判断できず、非常にクローズドな状況で、その知識や経験こそが財産でした。これも転売屋さんが増えた理由のひとつと言えるでしょう。

新たな人が業界に参入する事は、業界の発展・健全化・透明化といった効果が期待出来ることから消費者にとってもメリットがあると思いますが、転売屋さんという副産物?が生み出したという点については少し複雑な心境ですね。


「価値の値上がりを期待して買う」のと「転売」は何が違うのか


私自身、業務としてではなく個人の趣味嗜好で現代作家の作品を購入することがあります。数はまだ少ないですが、徐々にコレクションをしています。機会がきましたら是非紹介させていただきたいです。

さて 本題に戻りますが、現代作家のコレクションを購入する際の判断基準はいくつかあります。

絵画を含む美術品の役割はいくつかありますが、大きく分けると『美的(内的)価値』と『商業的価値』だと考えています。この考えについては「アートの価値 マネー、パワー、ビューティー(美術出版社)」で得ました。市場における美術の立ち位置やアートそのものを分かりやすくまとめており、大変おススメな一冊です。


先に書いたように私自身も趣味で現代作家の作品を購入したことがありますが、購入を決めた1番の理由は自分の美的感覚と合致し、好きになったこと。そして2番目の理由は将来値上がりする可能性があるかもしれないと感じたことです。美術品はピンキリですが決して安いモノばかりではないため、お恥ずかしい話かもしれませんが、ある程度将来性がある作家作品を買いたいですね。

どんなに気に入った作品でも、いつかは手放す時が来ます。それは好みが変わったり、お金に困ったり、まだ先の話ですが自分の死も作品とのお別れの一つです。

作品を所有する理由は様々だと思いますが、【自分の手元に置いておきたい】という気持ちがあるかどうかも、転売との違いかなと思います。


結論、アート作品の転売は無くならないかも


個人的観測ですが、アート作品の転売行為は当面の間増加していくと思います。現代美術が盛り上がれば盛り上がるほど多くの注目を集め、お金が入ってきます。

やはりお金が集まるところには転売屋さんが登場します。この盛り上がりが続く限り、転売屋さんと美術品との関係は続くのではないかと思います。

個人的には販売側が意図した適正な価格で、本当に欲しい方の手に渡って欲しいですね。

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