西田俊英は初期のインドに取材した人物画や動物画から、2000年代以降、精力的に取り組んだ花鳥画や風景画まで、多様なジャンルを手掛けていますが、一貫してその叙情性に富む繊細な作風が高く評価されています。
2002年に西田俊英個展「祈り」を三越本店で開催してから、2003年に今井美術館、2016年にそごう美術館にて回顧展を催し、以後も百貨店で個展を開催していますが、新しいテーマに次々と挑戦することによって、その表現の幅は年々広がりを見せています。
2017年に日本芸術院賞を授賞した「森の住人」は墨とプラチナを使用し、モノトーンでありながら屋久島の樹林を深い陰影とともに克明に描いて好評を博しました。日本画の確固たる技法に裏付けられた幻想的な空間表現とともに、日本画の精神性を重視しながら深みのある物語性を備えた作風が評価され、日本芸術院の会員にも任命されています。
ボルゾイ犬ゼウスを描いた作品も、西田作品としてよく知られており、ボルゾイ犬の気高く美しい姿と儚く咲く桜の組み合わせは人気作品です。2014年にボルゾイ犬を描いた作品「観」は、毛足の長い洋犬の毛並みを流麗な線で丹念に描き、抽象的な空間で凛として天を見上げる姿をとらえた作品であり、精神性と物語性の調和が見て取れます。同作は第10回春の足立美術館賞に選ばれ、高評価を得ています。