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2020年03月25日 [絵画 買取]

洋画界を席巻している『写実絵画(リアリズム)』の魅力と買取について

風景
〇はじめに

美術品に精通している方からすると「何年も前から知っているよ!」とお叱りを受けるかもしれませんが、『写実絵画』の一大ブームが起きています。
まず写実絵画とは油絵、アクリル、テンペラの技法を駆使して、見たままをそのまま忠実に描くことを目的とした表現方法です。写真と間違えるような精密な作品ですので、写真でも見た目は変わらないじゃないか、と思われるかもしれませんが作家によってスパイスを利かせており、感じ方が違ってきます。写真のようで写真とは一線を画す感じ方も写実絵画の魅力です。

このような『写実絵画』は数年前から需要が高まり、数多くの完売作家を生み出しました。
洋画界を席巻している写実絵画の人気のきっかけ、魅力、歴史、人気作家、などを絵画・美術品の買取専門店という立ち位置から紹介させていただきます。


〇写実絵画のブームのきっかけは?キーワードは3つ!


写実絵画ブームのきっかけは、「白日会」、「ホキ美術館」、「森本草介」ではないかと推測しています。写実絵画に一次流通に精通していませんので、絵画・美術品の買取専門店としての立場からの考察になります。「へー、そういう見方もあるのかー」という気楽な感じで見ていただけると嬉しいです。

美術品を購入する層からすると2000年過ぎからブームの兆しがあったと思いますが、美術業界全体で見ると2010年11月3日に写実絵画専門美術館の「ホキ美術館」が開館した事が爆発的な広がりを生むきっかけだと思っています。
印象派や現代美術などの専門美術館は存在しましたが、写実絵画専門の美術館は初めてでした。写実絵画というジャンルが文化的に認められた瞬間ではないでしょうか。

このホキ美術館を構成する要素が「森本草介」で、森本作品の最大のコレクターといわれています。ホキ美術館の顔であり写実絵画作家で、人気、クオリティ、評価額を兼ね備えています。

そして、多種多様な表現様式が認められた現代では、写実絵画のブームを生み出すには1人のカリスマ作家だけでは難しいでしょう。印象派がモネだけで成立していたかというと、答えはノーです。ルノワール、ドガ、ピサロなどの第一回印象派展に出品した多数の作家がいたのでブームになりました。写実絵画も森本草介を追随する一級品の作家が生まれたからです。その作家を生み出したのが「白日会」です。

白日会とは1924年に中沢弘光と川島理一郎らで結成されました。紆余曲折して弱体化していた白日会を前会長・伊藤清永は、当会創立の精神である「研究団体」を基軸としながら、若手作家の育成をはかり、自由な具象作家の集団であると共に、プロ作家を養成しプロの集団化を促進し、絵画と彫刻というファインアートで編成する当会の独自な地歩を築き上げました。
2002年に会長に選出された中山忠彦は、「見えるものを通して、見えないものを描こうとする」こととしての「写実」の理念を掲げ、自ら先頭に立って当会を牽引し、美術界で活躍する数多くの白日会作家を輩出し、さらに当会伝統精神の次世代への継承をはかりながら現在に至ります。※白日会HPより要約しました

このような団体が作家・コレクター・画商を結び、写実絵画というジャンルを育てていきました。近年、若い作家は無所属で活動することも増えてきましたが、多くの写実系作家は白日会を通っています(現在所属しているかは別として)。このような土壌を形成した白日会の功績は非常に大きいでしょう。

〇日本における写実絵画の歴史は?

写実絵画の出発点はワーグマンと高橋由一で日本に生まれた「洋画」です。洋画とは油絵の具、アクリル、テンペラなど絵の具を使用して西洋的な技法で表現された作品の総称です。現在では西洋的な技法を使用していなくても油絵の具などを使用して作品を描く作家は洋画家と呼ばれていますので、時代とともに名称の意味合いも変化しています。
洋画が輸入された当初は遠近法などを使用した写実的絵画様式でした。スーパーリアリズムと呼ばれる近年の写実絵画までの精密さはありませんでしたが、目で見たものを写真のように切り取ることを目的として描かれていました。高橋由一や五姓田義松の作品を見れば感じていただけるでしょう。
洋画が伝わった時期がもう少し遅かったら印象派全盛期でしたので、違った歴史になっていたかもしれません。

〇今、注目の写実作家10選!

異論はあるかと思いますが、独断と偏見で10人選ばせていただきました。絵画・美術品の買取が専門ですので、人気が出そうな新人作家というよりはある程度実績がある中堅作家〜巨匠作家に限定して紹介させていただきます。上で紹介した森本草介などの物故(亡くなった人)作家も対象外とさせていただきました。
裏を返せば、ある程度相場も安定しているので換金性も高く、存命ですので将来の価値上昇も期待できる作家たちです。作品が気に入れば積極的に購入してもいいかなと思います!

・野田弘志(1936〜)→白、黒、金バックに描かれる静物画が特徴的です。
・青木敏郎(1947〜)→写実絵画の重鎮で重厚感ある静物画が強みです。
・原雅幸(1956〜)→現在、スコットランド在住で風景画を中心に制作しています。
・古吉弘(1959〜)→神話の登場人物のような少年、少女を描いています。
・島村信之(1965〜)→人気・実力・相場を兼ね備えた人気作家。裸婦が一番です。
・小尾修(1965〜)→近年は女性を描く作品が多い印象です。
・諏訪敦(1967〜)→表面的に美しいモノだけではなく、幅広いモチーフが印象的です。
・福井欧夏(1968〜)→現場主義を信条として、女性を中心に制作しています。
・塩谷亮(1975〜)→人物、静物、風景など幅広く表現している期待の作家です。
・山本大貴(1982〜)→25歳の時にデビューして瞬く間に人気作家の仲間入りです。

他にも、卯野和宏、五味文彦、小木曽誠、中島健太、石黒賢一郎、三嶋哲也など挙げればキリがないですが上記10人に厳選させていただきました。どの作家も入手困難な超人気作家で、写実絵画というジャンルの層の厚さを実感しました。

〇まとめ

一部の人気作家は新作発表の値段よりも二次流通(オークションなど)で高値が付くケースがあります。美術品の買取を行っている立場としては売却していただけるのは嬉しいですが、せめて数年間は鑑賞して楽しんでほしいという気持ちがあります。美術品もれっきとした商品ですので、より高く値段が付いて流通することは資本主義では歓迎すべき点ですが、マネーゲームの側面が強くなると『本来の価値』が見失われてしまう気がします。
美術品を構成する価値は「鑑賞する美術的な価値」、「所有する社会的な価値」、「資産としての金銭的な価値」の3要素だと思っていますが、1つに比重が傾いてしまうと不均衡なバランスになります。バブル経済の時に美術品の一部は「資産としての金銭的な価値」が大きくなりすぎました。バブル崩壊後のゴルフ会員権を想像していただくと結末がどうなるかイメージしやすいと思います。
バランスよく価値が上昇していくのが写実絵画だけではなく日本の美術業界にとって良いことかなと感じます。


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