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美術鑑賞は難しい、ラグビーワールドカップから比べてみる

鑑賞

☆ラグビーワールドカップの熱狂と美術のつながり
タイトルは美術品とラグビーという全く異なるジャンルですが、個人的には共通点があると思っています。ラグビーワールドカップの熱狂も記憶に新しく、大会が進むごとに熱中していった人は多いのではないでしょうか。私も多くの「にわかファン」の1人で、テレビで見ているうちにどうしても生で観戦したくて、空いているチケットを手に入れて熊谷ラグビー場まで行ってきました。大会が始まる前は全くと言っていいほど興味が無く、大会終了後はこれほどハマるとは想定外でした。

なぜ、人々はこれほどラグビーに熱狂したのか?
日本代表の躍進、自国開催、メディアの影響、自己犠牲の精神(ワンチーム)等様々な要因がまとまった結果だと思いますが、「ルールの理解度」が「にわかファン」を生み出した大きな理由だと確信しています。

この「ルールの理解度」が「にわかファン」を生み出し、まったく別の領域である「美術鑑賞」に共通点を見出せるのか。独断と過去の経験から解説したいと思います。

☆美術鑑賞は難しい?
美術鑑賞とは美術館で絵や壷を見るだけではなく、幅広い視点で見ていきます。美術品を家で飾って楽しみたいという人はギャラリーや百貨店などに足を運ぶかもしれませんし、美術館も殆どいかない方でも公共施設に飾っている絵やポスターを見かける機会はあると思います。
様々な場所で各々の美術鑑賞方式があると思いますが、具体的に説明してくださいと言われると難しいではないでしょうか。

絵画・美術品の買取をしている立場として、美術鑑賞は切っても切れない関係です。しかし、美術品を購入されている方でも<美術品は難しいから良くわからない>などの言葉を聞きます。
2019年、日本で開催されたラグビーワールドカップが、その答えを導いてくれると確信しました。

☆にわかファンが生まれた理由
冒頭でも述べましたが、にわかファンが生まれた理由は「ルールの理解度」だと思います。サッカー、野球など頻繁に見る方でもラグビーのルールは煩雑で難しいです。ラガーマンですら自分のポジション以外のルールはよく分からないと話していました。
例えば、サッカーでしたら「キーパー以外は手を使うのはダメ」「ボールをゴールに入れれば1点」のルールが分かれば楽しむことができます。
今回のラグビーワールドカップでは試合中に解説者がルールを分かりやすく説明してくれて、試合の状況を分かりやすく解説してくれました。
その結果、男たちがぶつかり合っているだけで何をしているかよく分からない競技から、頭と体を兼ね備えたスーパーマンしかできない知的な競技だと理解することができました。
このように何かを楽しむには「ルールを理解」することが必要です。そして、ルールを理解することがお互いの共通認識が増えて人々と共有することが可能となり娯楽へとつながります。

☆集客力を比較してみよう
まず、日本人は美術鑑賞が大好きな人種です。2019年度の企画展ごとの来場者数上位3つを挙げさせていただきました。

2018年10月5日〜2019年2月3日 フェルメール展(上野の森美術館)
総入場者数は約68万人
2018年10月27日〜2019年1月20日 ムンク展(東京都美術館)
総入場者数は約66万人
2019年2月16日〜5月12日 フェルメール展(大阪市立美術館)
総入場者数は約54万人

この数字を見て分かるように多くの人が美術館に訪れています。
比較対象が無いので分かりにくいかもしれませんが、2019年度のライブ観客動員数は嵐が1位で約181万人(公演数は36回)みたいです。サザンオールスターズが4位で約65万人(公演数は22回)なので、サザンオールスターズ級です。
ラグビーワールドカップの期間中は約170万人だそうです。そう思うと嵐ってすごいですね。


☆美術館は好きだけど見方が分からない?

美術館の集客数は「すごい」です。しかしながら、世間ではハードルが高い存在になっています。
根本的な問題は義務教育にあると思っています。極端な話、テストで点数を取るための勉強なので、ゴッホやピカソなどの有名な作家と作品を覚える事がすべてでした。
それでは素から感受性が豊かな人以外は作品とその横に書いてある説明文を読むスタンプラリーでしかありません。
有名な作品を見ることに対する充足感はあると思いますし、上に挙げたフェルメール展などは本国まで見に行くと数十万円の出費が数千円前半で収まりますので、費用対効果は抜群です。沢山の来場者が集客できるからこそ日本国内で企画展が開催できるのも事実です。私が言いたいのは、せっかく良質な作品が身近な場所で見ることができるチャンスがあるので、存分に楽しみませんか?です。

☆どのように見るか?
そもそも美術品の基礎は宗教画で、その宗教画に描かれている意味を話し合うことが娯楽の目的でした。具体的には作品上に登場する<梯子><林檎>などには共通の意味(アトリビュート)があります。それをもとに議論にふけるのです。
見たままで感じることを否定することは出来ませんが、従来の美術鑑賞のように教養の素地を身につけることが重要だと思います。
具体的には、その作家がどのように作品を制作して、何を表しているのかというパーソナルな部分を知れば、作品のより深い所で考える事が出来ます。
外的要因の側面から見れば美術品は世界情勢のような実質的なものと、哲学・文学といった観念的なものと密接なつながりがあります。作家が作品を描くのは天からアイデアが降ってくるのではなく、何かしらに影響して制作しています。
なぜ、この時代にこの美術が生まれて、ここまで評価されたのかは、世界史・日本史と美術史を知らないと理解できません。

ラグビーのようにルールを理解して楽しめるようになった事と同様で、共通の言語(美術品の理解度)が増えれば共有もできるし、悠久の時を越えて作者と対話できます。物事を考えるにしても自分が持ち合わせている知識を材料で答えを導き出します。材料があればあるほど深く広く考えることができます。この考えることができるのが理性といい、極上の楽しみではないでしょうか。
現在の日本では国・地方公共団体や美術館職員などの尽力によって至る所で良質な展覧会が行われています。せっかくなら知的欲求を発揮し、楽しんでほしいなと思います。


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