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埼玉近代美術館へ!ニューヨーク・アートシーンへ!MOMAS!

館内看板
公園看板
こんにちは、東京の美術品買取専門店獏 小林です。
埼玉近代美術館へ行ってきました。京浜東北線の北浦和駅から徒歩3分の好立地で、北浦和公園の中にありました。公園内にはエミリオ・グレコやフェルナンド・ボテロなどのブロンズが飾ってあり、シンプルながら素敵な空間でした。
公園
外観
ボテロ
ボテロ説明
今回は、企画展のニューヨーク・アートシーン〜ロスコ、ウォーホルから草間彌生、バスキアまで(滋賀県立近代美術館コレクションを中心に)〜を目当てで、合わせてMOMAS常設展を見ようと思いました。
パンフレット
深く調べずに行ったので、企画展がニューヨークに関わる事も踏まえて、ニューヨーク近代美術館《通称MoMA》に関連する常設展だと思っていました。しかしながら、MOMASとは、Museum of Modern Art Saitama なので、埼玉近代美術館の常設展でした。普通に考えればその通りなのですが、期待していたので肩透かしでした(埼玉近代美術館の方、すいません)。
さて、本題の企画展について紹介させていただきます。
まず、嬉しかったことが国内の美術館に所蔵している作品だけで構成されていた事です。企画展の副題にある通り、滋賀県立近代美術館を中心に大阪中之島美術館、京都国立近代美術館、国立国際美術館、高松市美術館の所蔵品で構成されていました。海外発祥の作品を国内にある作品だけで展示すると、内容が弱くなりがちですが、十分なボリュームで時系列やジャンル分けを明確にして見やすいようにまとめられていました。日本国内には印象派だけではなく戦後美術の良品も揃っているなと実感し、一美術商として嬉しいと思うのと同時に、日本の美術業界の発展を目指し尽力しなくてはと思いました。
さてグリーンバーグの抽象表現主義全盛期からその終焉までを、その時代を象徴した作家を並べて構成されていました。第二次世界大戦後にアートパワーの覇権がフランスからアメリカに渡る境目を体現しています。1900年の前半は、フランスのキュビズム・印象派・シュルレアリスムなどが美術業界のトレンドを牽引していました。二度の世界大戦で戦火を逃れるためにヨーロッパからアメリカへ一流の芸術家が移住し、その中には現代美術を語る上で欠かせないマルセル・デシャンがいました。1915年にフランスからニューヨークへ移住し、1917年の第一回アンデパンダン展にリチャード・マット(偽名)名義で《泉》が出品されました。この展覧会は手数料さえ払えば誰でも出品できるのですが、デシャンが出品した泉は大量生産品の男性用小便器を横にしてサインのみ記載したものなので、出品を断られました。それが物議を呼び、レディメイドという概念が生まれました。レディメイドとは簡単に言うと、本来芸術品は作家の手で作られた一点モノでしたが、既製品を使うということは他人が作った製品や大量生産品を芸術作品として提案する行為です。これは本来の美術品・芸術品の概念を否定したコンセプトが重要で、画期的でした。
これを契機に、コンセプチュアルアート、ネオダダ、ポストモダン、ポップアートなどの名称で呼ばれる新たな表現方法が生まれました。芸術の歴史は重複する部分もありましたが、時系列でまとめられてきました。ルネサンス→バロック→ロマン→印象派が例です。しかしながら、1900年以降、特にデシャンの泉を発表後は、時系列上に芸術運動の波が入れ替わるのではなく、相関図のように広がっていきます。
このように現代美術の将来を変える起点となった作品を生で見ることができるのは希少な体験だと思います。作品を見るだけでは「何だ、この便器は!?」と思うだけで終わるかもしれませんが、上記のような美術品としてなぜ優れているかの理由が分かっていれば感じ方が全く違ってくるでしょう。現代美術は歴史の流れや作品のコンセプトを把握していた方が、クオリティ高い鑑賞ができるのではないでしょうか。例えば、サッカーや野球などのスポーツ鑑賞でもルールが分からないと十分に楽しめないように、美術館賞も最低限のルールや美術史の流れが分からないと楽しめないかもしれません。勿論、作品と対話しながら楽しむのを否定するわけではありません。

今回展示されている作品は1964年にデシャンの監修のもと、ミラノのシュヴァルツ画廊が制作した8点のエディションのうちの1点です。残念ながら、物議を醸しだした作品は紛失してしまったそうです。しかし、ニューヨーク・アートシーンという物語の始まりとしては需要なピースですので、鑑賞できたことに感謝したいです。

これ以上は、複雑なニューヨーク・アートシーンを説明できないので個人的に気に入った作品を紹介させていただきます。
シンディー・シャーマンのセルフポートレートや河原温のtoday作品を鑑賞でき、満足な内容でした。シンディー・シャーマンはシュミュレーショニズムというコンセプトで著名になった作家で、なかなか国内では作品を鑑賞できないので良い経験でした。
他にはトム・ウェッセルマンのオイルやリキテンスタイン、ウォーホル、フランク・ステラ、ラインハートなどがあり充実した内容でした。
残念ながら、もう少しで展覧会(2020年1月19日まで)が終わってしまいます。国内の美術館から借りたものですので、お近くにお住いの方や、旅行でその方面へ行かれる方は足を運んでみてもらえたらなと思います。これらの作品を収蔵したであろうバブル期前後は印象派全盛期でした。その最中でアメリカの戦後美術を蒐集した各美術館担当者の慧眼に感謝です。

MOMASの常設展では藤田嗣治の一級品、金昌烈(キム・チャンギョル)、大観の掛け軸まではバラエティ豊かなコレクション内容でした。印象的だったのが作品のコンディションです。藤田嗣治の裸婦作品でしたが、細かいダメージが出ていました。製作後100年近く経過しているのでやむを得ないのは理解していますが、美術館のような空調が管理されている場所でも時間には勝てないのかなと悲しい気持ちになりました。
あと、代表的な作品はポストカードにされて無料で持ち帰ることができます。日本国内の美術館は写真撮影が禁止されているところが多く、数ある作品を記憶にとどめておくのは困難です。ポストカードには作家の略歴や作品の説明も記されているので、素敵な試みだと思いました。
藤田
金昌烈
最後に、日曜日の午前中でしたが人も少なくゆっくりと鑑賞出来ました。しかし、企画展のクオリティに比べると来場者が少なく感じました。地方の美術館でも十分に楽しめる内容の企画展を発信していますので、定期的に企画展の内容をチェックして、少しでも興味がわいたら是非足を運んでいただけたらなと思います。

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