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【弁護士監修】美術品・骨董品相続トラブルの解決方法

「父が大切に集めていた絵画や骨董品を相続することになったものの、価値が分からない」「兄弟で遺産分割の話し合いをしているが、美術品を誰が相続するか決まらない」といったお悩みは少なくありません。

相続財産というと、不動産や預貯金を思い浮かべる方が多いでしょう。しかし、絵画や掛軸、陶磁器、茶道具、彫刻などの美術品・骨董品も、亡くなった方が所有していたものであれば相続財産に含まれます。

一方で、美術品や骨董品は市場価格が分かりにくく、同じ作品でも査定する業者によって評価が変わることがあります。そのため、「誰が相続するのか」「いくらの価値として扱うのか」といった点で相続人同士の意見が食い違い、トラブルへ発展するケースも珍しくありません。

本記事では、美術品・骨董品を相続した際の正しい手続きや注意点、相続トラブルを防ぐための方法について、弁護士監修のもと分かりやすく解説します。

小林大祥
著者

株式会社獏 代表取締役

小林大祥

長年の美術品・骨董品の査定・買取を通じて培った知識と経験をもとに、作品の価値や売却時のポイントなどを分かりやすく解説しています。

寺田健郎
監修者

弁護士

寺田健郎

神奈川県弁護士会所属。弁護士法人山村法律事務所勤務。相続をはじめとする法律問題を取り扱い、紛争予防や法的知識の普及に関する情報発信にも取り組んでいます。

美術品や骨董品も相続財産になる

相続では、亡くなった方が所有していた財産は、原則としてすべて相続財産となります。

美術品や骨董品も例外ではありません。

例えば、次のようなものは相続財産になる可能性があります。

  • 日本画・洋画
  • 掛軸
  • 陶磁器
  • 茶道具
  • 中国美術
  • 彫刻
  • ガラス工芸
  • 仏像
  • 古美術品
  • 現代アート
  • アンティーク家具

これらは法律上「動産」と呼ばれる財産です。

家族の中では「父が大切にしていた作品だから長男が受け継ぐ」「形見分けとして持ち帰る」と考えることもあるでしょう。しかし、高額な価値を持つ可能性がある美術品については、形見分けではなく、相続財産として適切に取り扱うことが重要です。

その理由は、相続人全員の同意がないまま持ち帰ったり売却したりすると、後から大きなトラブルへ発展するおそれがあるからです。

美術品・骨董品の相続で起こりやすいトラブル

価値が分からず話し合いが進まない

美術品の相続トラブルにおいて、最も多いトラブルは、「作品の価値が分からない」という問題です。

例えば、亡くなったお父様が生前、美術品収集を趣味としており、自宅に数十点の絵画や陶磁器を保管していたとします。兄は「有名な作家だから価値が高いはず」と考え、妹は「古そうだけれど本当に価値があるの?」と考えるかもしれません。

このように、お互いが作品の価値を正確に把握できないまま話し合いを始めると、遺産分割協議が進まなくなることがあります。

価値が不明な財産について公平な分割を行うことは難しいため、まずは専門家による査定が必要です。

勝手に持ち帰る・売却する

「自分が長男だから」「父から生前にもらう約束をしていた」などの理由で、美術品を自宅へ持ち帰ってしまうケースもあります。

しかし、遺産分割が終わる前の相続財産は、原則として相続人全員による共有状態(遺産共有)です。

そのため、一人の判断だけで作品を売却したり処分したりすると、

  • 無断で処分された
  • 財産を隠された
  • 本当はもっと高く売れたのではないか

といった新たなトラブルにつながる可能性があります。

このようなトラブルは、最終的に、他の相続人から不当利得返還請求訴訟や不法行為に基づく損害賠償請求を受け、裁判に発展する可能性も考えられることから、時に慎重に判断すべき事項です。

相続人同士の信頼関係が損なわれる原因にもなるため、勝手な処分は避けましょう。

査定額が業者によって異なる

美術品は、現金のように一見して価値がわかるものでもなければ、不動産のように業者に聞いて価格がわかりやすいものとも言いにくい財産です。

例えば、

  • 国内市場で人気が高い作品
  • 海外オークションで需要がある作品
  • 保存状態が良い作品

など、さまざまな条件によって価格が変わります。

また、美術品を専門としないリサイクルショップでは適正な評価が難しいこともあります。

査定額だけを見て判断するのではなく、美術品の取扱実績が豊富な専門業者へ相談することが大切です。

相続財産である美術品は査定を受けることが重要

相続では、「誰が取得するか」を決める前に、財産の価値を明確にすることが重要です。その中でも特に美術品の相続については、上記の通り価値がわかりにくいため、その重要度は上がります。

査定では、次のような内容を確認します。

  • 作者名
  • 作品名
  • 制作年代
  • 保存状態
  • 真贋の確認
  • 市場での流通状況
  • 現在の買取相場

これらを総合的に判断することで、現在の市場価値を把握できます。

価値が明確になることで、相続人全員が納得しやすくなり、遺産分割協議も進めやすくなります。

また、査定書があることで、後から「もっと価値があったのではないか」といったトラブルを防ぐことにもつながります。

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遺産分割の基本的な流れ

美術品や骨董品が含まれる相続では、次のような流れで手続きを進めます。

① 相続財産を整理する

まずは、不動産・預貯金・株式・保険・美術品など、すべての相続財産を整理します。

財産を正確に把握しなければ、公平な遺産分割はできません。

② 美術品の査定を依頼する

作品の価値が分からないまま話し合いを始めることは避けましょう。

専門業者へ査定を依頼し、客観的な評価額を把握することが大切です。

③ 遺産分割協議を行う

査定結果をもとに、

  • 共同で売却して現金を分ける(換価分割)
  • 一人が取得し、他の相続人へ代償金を支払う(代償分割)
  • 他の財産とのバランスを考えたうえで、美術品現品を引き継ぐ(現物分割)

などの方法を話し合います。

美術品は物理的に分けられないため、現物を誰が取得するかを慎重に検討する必要があります。

④ 合意できない場合は遺産分割調停を利用する

話し合いだけでは解決しない場合には、家庭裁判所へ遺産分割調停を申し立てる方法があります。

調停では、中立的な立場の調停委員が間に入り、双方の意見を整理しながら合意を目指します。

感情的な対立が続いている場合でも、第三者が入ることで冷静な話し合いができるケースは少なくありません。

【事例】兄弟間で対立した美術品相続が解決したケース

美術品収集が趣味だった父親が亡くなり、兄と妹が相続人となりました。

遺産には自宅や預貯金だけでなく、日本画や洋画、掛軸、陶磁器など数十点の美術品が含まれていました。

兄は「父の思い出があるので自分が引き継ぎたい」と希望しましたが、妹は「本当に公平な分け方になるのか分からない」と不安を感じていました。

そこで相続人だけで話し合いを続けましたが、意見がまとまらず、弁護士へ相談することになりました。

弁護士の助言を受け、家庭裁判所で遺産分割調停を行うとともに、美術品専門業者へ査定を依頼しました。

その結果、それぞれの作品の価値が明確になり、兄が美術品を取得し、その代わりに妹へ多めに預貯金を分配することで双方が納得しました。

調停終了後、兄は一部の作品を専門買取業者へ売却し、適正な価格で現金化することができました。

美術品という評価が難しい財産であっても、弁護士と専門業者が連携することで円満に解決できた事例といえます。

美術品相続で後悔しないためのポイント

相続トラブルを防ぐためには、次のポイントを意識しましょう。

勝手に処分しない

遺産分割が終わる前に売却や譲渡を行うと、大きなトラブルにつながる可能性があります。

財産全体を把握する

美術品だけでなく、不動産や預貯金も含めた全体の財産を確認してから話し合いを始めましょう。

信頼できる専門業者へ査定を依頼する

美術品の価値は専門知識によって大きく左右されます。

美術品・骨董品の査定実績が豊富な専門業者へ相談することが重要です。

話し合いが難しい場合は早めに弁護士へ相談する

相続人同士だけでは解決が難しい場合、無理に話し合いを続けるよりも、早い段階で弁護士へ相談したほうが円満に解決できるケースがあります。

まとめ|相続した美術品・骨董品は専門家への相談が解決への近道

美術品や骨董品は、価値が分かりにくく、遺産分割でも意見が分かれやすい財産です。

しかし、相続人全員で財産を確認し、専門業者による適正な査定を受けたうえで話し合いを進めれば、多くのトラブルは未然に防ぐことができます。

また、話し合いがまとまらない場合は、弁護士へ相談し、遺産分割調停などの法的手続きを利用することも有効です。

以上が、弁護士による、美術品・骨董品が財産に含まれる場合の相続トラブルと解決のための注意点の記事となります。相続財産を整理すること、その価値を正確に把握することが不可欠であり、美術品・骨董品は特にその難しさがあるということが理解できる内容でした。

当社では、相続に伴う絵画・掛軸・茶道具・陶磁器・骨董品などの査定・買取を数多く行っています。相続手続き中の査定から、遺産分割後の売却まで丁寧にサポートいたしますので、「価値が分からない」「公平に分けたい」とお考えの際は、お気軽にご相談ください。


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